怪談・奇談

こわい話とは違います。
聞いたり調べたりした話を書いてみます。

水子

関東某地域の名前で水子という場所がある。
まさか水子供養とか水子観音の水子ではなかろうと興味を持ち調べてみた。
予想は見事に外れた。
水呑百姓がたくさん住んでいた地域とか考えていたのに。
まぁそれは置いといて。
 
昔々と言っても平安時代なのか室町時代の話なのかはわかりません。
少なくとも奈良時代以前や江戸時代以降ではなかろうと思います。
水子と呼ばれている地域も昔は別の名前で呼ばれていたのでしょうがまぁそれは置いときます。
 
むかしむかし、村の生娘が何者かに犯されて妊娠してしまうと言った事件が起きました。
妊娠これは一大事です。
なにしろ生死にかかわる重大事です。
しかも父親がわからない。
同じ村のものなら共同体的に許されることかもしれませんが、
外部犯の可能性もあります。そんなものの子を育てる義理はありません。
というよりもそんな子供のために娘が生き死を迫られている事態に
両親は大そう嘆き悲しみました。
そこに現れた修験者、嘆き悲しむ元を断つべく願をかけ、
ついには娘のおなかの子を水と化し、流してしまったということです。
これが由来でここの地名が水子となりました。
 
ここの地域には元が修験寺である神社もあり、修験寺の建立が室町時代となっています。
だからと言ってこの寺の人が願をかけたどうかは疑問でもありますし、
このことがあったから建立される運びになったとも考えられます。
この修験寺は地域密着型の頼みごとを良く聞く寺だったらしく、
建立されてからこの事件が起こったと素直に考えれば判断してしまいます。
それにしても娘の命を助けるためとはいえ胎児の命をないものにしてしまうのは
果たして仏の道にかなったやり方なのでしょうか。
生まれてきていない命は現代と同じく勘定に入れないものなのでしょうか。
実際は建前上勘定に入れないことにして水子供養という形でちゃんと勘定に入れていたのだろうとは思います。
罪の有無と罪の意識の有無は別問題ですからね。
 
ここからは下卑た考え
実は生娘を犯した犯人は修験者で、
寺の名前をあげるべく母体に影響の小さい流産方法を試みたのではなかろうか。
なんて書いたら現存の神社さんに怒られますね。
実際は隣村だったり夜盗だったりならず者だったりのせいではないかと思いますよ。建前上。